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第1回『鉄塔武蔵野線』ファン・ラン-3

[鉄塔調査レポート2/4]Edition.1.0_2004.09.21
*〈〉内は、小説で使われた言葉 *写真をクリックすると、大きい画像が出ます
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〈ピッコロ鉄塔〉―柳瀬川を渡って所沢〜狭山の台地へと上がる―


 武蔵野送電線はJR武蔵野線を跨いだ後、内山運動公園・清瀬水再生センター内で左に屈折、ランのルートもここを左から迂回する道をたどり、その先で柳瀬川に架かる清柳橋を渡る。


 このあたりは柳瀬川の支流・東川や関越自動車道も交叉するので複雑だ。
 小説で〈みっちゃん、ここ行き止まりじゃないか?〉とアキラに言わせた脇道に、自分は最初の鉄塔調査で入り込み、実際に行き止まりとなり、引き返した。子どもたちは、この脇道を使って廃棄物置場の横を突っ切り、奥へと続く道を通って広い道へと出られた。自分はこの道の奥で、ボーボーに伸びた藪に恐れをなして引き返し、右から大回り(小説のガキども、なかなかやるじゃねーか、オジサンには無理っす)。こうした遭難→引き返しは、今回のランの途上で何度もあり、時間浪費を招いた。

 産業廃棄物置場の上の道路から、左に柳瀬川の支流の橋を渡り、関越自動車道を跨ぐ陸橋・城橋を渡る。


 小説では、支流の橋と関越自動車道の間に〈逃げろ、アキラ。ここ、きっとヤバいホテルだ〉と見晴に言わしめたラブホテルがあり、ひっそりと看板も出ていた。
 坂道を上っていくと右手の高台の畑の中に小さめの鉄塔が立っていて、農道から近づくことができる。これが〈ピッコロ鉄塔〉(旧62号鉄塔)で、鉄塔自体が畑の風景に溶け込んで、気持ちのよい場所だ。


 なお、ピッコロ鉄塔は最近になって改造されたらしい。また、次の鉄塔は〈アキラ鉄塔〉(旧61号鉄塔)で、有名な〈ひがしでん〉発祥の地なのだが、ランの都合のため行けなかった、残念。

〈怪獣鉄塔〉―広大な畑砂漠の縦断ならず―


 〈ピッコロ鉄塔〉のある農道から所沢青梅線に戻って、普通の道路を東所沢方面へと南西に走る。しばらく武蔵野線と別れる。「城」で細い道へと右折、北西へと走り、鬱蒼とした雑木林の下り坂を抜けて産業廃棄物処理場前を左折しオリンピック道路に出て、柳瀬川の支流を北へと跨ぐ柳瀬橋を渡る。そして坂を上っていくと、一度別れた武蔵野送電線の下を通る。 ちょっと離れるとすぐに送電線が見えなくなってしまい、似たような送電線もあちこちで交叉するので、位置確認に気を遣う。間違った送電線に沿って走っていってしまったら戻るのが大変だ。
 坂の上で463号線にぶつかる。大きな十字路(亀ヶ谷)になっていて、左折し、歩道橋を渡る。ここでちょうど08時00分だった。
 463号線から北の住宅地の道へと入り、北西へジグザグに進みながら送電線を追う。近づくことのできた旧57号鉄塔から、送電線の下を走ろうと畑の畦に入り込むが、続いていない。それで畑と雑木林のコンタクトラインを走ったりするが、靴の中に砂は入るし、走りにくくて仕方がない。戻って普通の道を走ることにする。


 道路を西へ少し走ると、左に日大のある一本道の通りに出る。狭山市三芳町中富・上富の広大な畑を北西へと突っ切っていく長い長い一本道の始点だ。小説では〈暑さで気分が朦朧とし、あまり思考が回転しなく〉なる、猛暑の畑砂漠の場所。再び送電線の真下の畑を一気に突っ切ろうかと思い、送電線の真下に続く道へと右折、畑の回りを右往左往して偵察してみる。畑の畝や農道は北東から南西方向に引かれていて、直交する農道が少ないし、途中で切れているようだ。となれば、畑のど真ん中を走るしかないが、ピチピチタイツを履いたオジサンがそんなところを突っ切って走っていたら、畑を荒らすことになり、警察沙汰になる、諦めて一本道の道路を走るしかなかった。


 一本道と武蔵野線は平行しているものの、電線は右手にあり、かなり遠くに見える。地図を見ると、一本道の先の「緑」という場所で電線が交叉するらしい。太陽はまだ東に昇ったばかりで、直射日光は受けるものの暑さはそれほど感じない、今のうちに距離を稼いでおこうと、一本道を軽快に走り続ける。東ハトの工場もあった。

 多聞寺の左手を過ぎると、砂川堀を跨ぐ。小説では〈深い溝渠〉で、少年たちがバトミントンをする少女に出会う旧47号鉄塔のあたりだ。


 武蔵野線はそこで左に屈折して、走っている道路に接近してくる。交叉するところが「武蔵赤坂開閉所」という変電所で、この先にあるのが〈怪獣鉄塔〉(旧44-1号鉄塔)だと思う。思う、という曖昧な表現をしているのは、確証がないからで、上空にはいくつもの送電線が交叉し、どれが旧武蔵野線なのか、よくわからないまま、走り続けるしかなかったからだ。変電所でどのような接続をしているのかも確かめることができなかったし、記憶も曖昧になっている。文庫版を持ってきて、写真と照合できたら、と思った。




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