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第10回大村湾一周160kmマラニック[2006年2月11-12日] Edition.1.0_2006.2.20

大村線をまたぐ
諫早が近づく。そろそろ暗くなってきた……これ以降、夜間は撮影はしていない。夜間で国道を走っていてフラッシュを焚くのが危険だと感じたのと、次第に疲労が濃くなって撮影どころではなくなってきたので。
  大村湾を離れ、長崎市内へ。Fuさんの知り合いのウルトラ・ランナーさんと一緒になり、話をしながら走っていく。この間、かなりの距離を走っているはずなのに、話をしながらだと、苦痛でなくなるから不思議だ。カリスマ美容師さんが半袖で、しかも走るよりも速く歩くのでおもしろかった。みなさん個性的だなぁ。。
 長崎から浦上へ、再び北上して大村湾沿いの時津へ、80km中間地点の公民館ですばらしい夜食3点セットをご馳走になる(これがエライうまかった。ネパール語で言うと、デライ・ランムロッザ)。単独で参加してたら、もうここまででいいや、充分走ったよ、と思って寝込んでしまっていたかもしれない、けれど、まだ行けるぜ……数え切れないエイドで補給して……寒いなか、エイドのボランティアのスタッフのみなさんは凍えそうになって、待っていてくれました。まだ走ってるほうがラクなのかもしれません……
 夜間、どこまでもどこまでも続く道、途中の24時間のスーパーで警備員をしているオジサンと少し話をしました。トイレを借りたので。こんな夜中に走ってる人はやっぱり変な人なので、スーパーから出てきて見に来たのです。警備員としては当然の行為ですね。「こんなに夜遅く大変ですね」。オジサンは働いていて、オレは勝手に走っている、でも、まったく違う存在ではないな、と思いました。日本中どこでもロードサイドは似たような風景であり、似たような夜があり、仕事がありますが、夜、誰かが何かを支えて朝まで届けているのだ……
大村湾の夜明け
小さなアップダウンが続く夜の道、ヘッドランプの電球が切れて、電球を入れ替え、今度は電池そのものが切れ、電池を入れ替え……どこまでもどこまでも走っていく……どこをどう走っているのか、判然としなくなる。そしてついに朝日が昇る。明るくなってきたのはわかっていたのだけど、Fuさんに言われて朝日に気づき、ようやくカメラを取り出して撮影。言われなければ、たぶん、ダラダラと脚を動かしていただけでしょう……撮影するという気力がない……疲れております……
(同、刻々と表情を変える夜明け)
西海橋
大村湾の湾口にかかる橋の手前に公衆トイレがあって、借りる。膀胱も疲れているのかトイレが近い、いや、疲れて休みたいからトイレを言い訳にして脚を止めているだけだったりして。
 大きな湾なのに、海峡の幅は狭い。海水がまるで川のように流れている……おそろしや。不思議な湾だと思って調べたら、もともとは海水面よりも低い湖であったのが、氷河期が終わって海水面が上昇したため、岸辺を乗り越えて海水が入り込んできたらしい。ゆえに、生態系も独特のものがある……とのことだが、それはともかく、橋の上の強風で足もとがふらついて、車に轢かれないように走らないといけない。この橋を渡れば完走はできると思ったのだが……甘くはなかった。
すっかり昼間……まだ着きません
うーん、遠い……すっかり日が昇って昼間になっているのに、撮影する気力なし。120km走ってきた後の40kmは苛酷だった。最後の20kmは半分歩く。いや、最初は走っていたのだけど、後ろから来るランナーに「歩き」で抜かされてしまって、走るよりも歩くほうがずっと速いじゃないか! という結論に達したので、自分も歩くことにした、そしたら走るよりも速かった……なんやそれ。それだけ足が上がらず、歩幅が狭くなっていた。
 歩き出してから気づいたのは、足裏がビリビリと痛むこと。そして太陽が昇って暖かくなったせいか、意識が朦朧としてきて、歩きながら眠ってしまう……ガクっとなって、また歩き始める。そんなことの繰り返しになる。風が吹けば寒いし、風が吹かなければ眠くてガクっとなるし、もう、どうしたらいいんでしょう……ようやく大村湾から離れて峠へと続く道を登っていく……こんなに距離あったかなぁ……次々と後ろから来たランナーに抜かれてしまう……時間が迫っている、16時がリミットだ……ようやく峠に着いた。このまま行くと間に合わない。Fuさん曰く、「峠からの下りはがんばって走ろう」。うーん、確かに。せっかくだから最後はやっぱ、走ろう。Fuさんが缶珈琲をおごってくれた。血糖値が下がりまくっていたらしい、これで急にパワーが復活した。下り坂の勾配がちょうどよかったのか、膝の痛みも出ない。よし、このまま突っ走れ。嬉野温泉・松園旅館までの峠の下り坂は一気に駆け下り、ゴールすることができた。やった、完走だ! 風呂だ……飯だ……布団で眠れる……ありがたい……
 それにしても、最後まで根気よく、遅いゴントにつき合って伴走してくれたFuさんに感謝。
翌朝の松園旅館

昨夜は大宴会、目を開けているのが精一杯。泥のように眠って復活、朝には露天風呂に入りました。生きててよかった。

ウルトラランナーさんの家で昼食をご馳走になる
帰りは途中までウルトラランナーさんの車で駅まで送っていただきました、ありがとうございます……さらに、ウルトラランナー・Tさんのご自宅で昼食をご馳走になりました。途中でパンを買って歩いていきましたが、快晴、空気が澄んで暖かく、あぁ、春だなぁ、と思いました。パンと麦水がこんなに合うなんて……うまい(最近の食べ方のなかでホームラン級のうまさ)。
 Tさんは、今年はボランティアとして活躍、昨年は、Fuさんと福岡からスタート地点の嬉野温泉まで走っていって、そのまま参加されたという豪脚の持ち主。「痛いのは自分ではなくて、膝とか脚が痛いだけなんだから、そう思えばさ、大丈夫だよ」というのは名言!?
 時間もせまってきて、お別れです。そういえば……今日は平日の昼間だったんだ…… 少し後ろめたい気分……その日のうちに飛行機で帰りました。帰ってから、松園旅館前でいただいた温泉豆腐をいただきました、最高に美味でした。(完)

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