第16回日本山岳耐久レース(長谷川恒男CUP)、今年で4回目。完走できました。
ランニングの会のみなさん、ありがとうございました。
場 所 | 順位 | 通過タイム |
第1関門(浅間峠) | 1132 | 4:50:24 |
第2関門(月夜見) | 1218 | 10:31:51 |
第3関門(長尾平) | 956 | 14:56:58 |
ゴール | 860 | 16:52:18 |
自宅に戻った翌日から調子を崩し、熱が出て、仕事以外はバタリと寝込んで何もできないような状態でした。
ようやく復活してきましたので、レポートを載せます。
以下、感想。
全般
完走できてよかった。2007年大会はエントリーしていたにもかかわらず、仕事が忙しくなり、練習もまったくできなかったことから、レースの参加自体を諦めてしまった。2008年、今年も忙しかったとはいえ、ともかく参加することができた。足が痙って痛かったけれど、事故、ケガもなく、完走することができた。
レース一週間前
仕事の都合もあって、睡眠の時間がずれてしまった。ただし、前日はよく眠った。ベストタイムを出すなら、2週間前から完全に睡眠時間をコントロールしないとダメだ。今回のレースでいちばんの問題になった足の痙攣は、練習不足もあると思うけど、半分は睡眠不足による自律神経系の不調にあると思う。特に前日の睡眠時間は重要。よく眠らないと走れないと思う。また、装備携行品についても、かなり早い時期から揃えてチェックしておくべき。
レース直前
前日の仕事が終わらず、若干寝坊してしまう。電車でJR青梅線・武蔵五日市駅に移動。途中、拝島駅で電車の乗り継ぎの間に天ぷらそばを食べる(正解だった)。駅から会場へ。ゼッケンをもらい、小学校の体育館に向かう。場所取りをしてもらっていて、ありがたい。ランニングの会のみなさんも集合。自宅からほぼ着替えてきてるので準備はすぐに終わる。稲荷寿司を食べ、粉末ヴァーム+アミノバイタルを溶かして飲む。あとは水を飲む。天気がいいし、スタートからしばらくは飛ばす必要がある。
校庭に出て、ストレッチ等する。入念にやらないと途中でトラブるはず。
スタートから第1関門(浅間峠)
あまり前に並ぶと追い越しされて危ないし、かといって後ろに並べば大渋滞、難しい。スタート直後、ロードの部分は流れよりも若干早い速度で抜きながら行った。その時点ではまだ調子は悪くない。
山に入る。途中までは流れに乗って行ったが、1時間もすると、登りで流れに乗れないことがわかる。鍛え方がまったく足りなかった。速度が出ない。これはだめだ、この速度に乗っていったら、疲労で足がまったく動かなくなると思い、長い登りの時は、後ろの人に先に行ってもらう。毎度の渋滞はさらに長くなったような気もするが、気にしても仕方がない。へんな追い越しやショートカットをする人に咎めの声が飛ぶ、うーん、富士登山競争みたいになってくるのは嫌だな。
約2時間半の市道山あたりで、ふくらはぎが痙攣してしまう。あちゃー、こんなところで。前半に無理をしたからだろう。まだ第一関門にも達していないのに。最初は左側だけだったが、そのうち右側も痙る。ガンバって登ってる時にそれが急に起こる。練習不足と睡眠不足が原因だろう、あと靴紐がきつかった。そして汗をかいて「塩抜け」状態になってる。靴紐を緩め、岩塩を摂る。それでもやはり、登りになると足が痙ってしまう。そのたびに道をはずれて、後続者の列を先に通し、ストレッチしてから列に戻る。最初はくやしくて仕方なかったが、何度も同じことを繰り返していると、もういいや、仕方がない、と諦めムードになる。
醍醐丸通過後は、ふくらはぎだけでなく、足の前のスネの部分まで痙るようになる、これでは水平の山道も走れなくなってしまう。さらに、左の腰、左の足の付け根部分が痛くなってきた。今年の夏前に悪化して、練習ができなくなってしまった、あの痛み。やっぱり出たか。下りで挽回しようと、少し無理な飛ばし方をしたからだ。こんな状態で果たしてどこまで行けるだろう、三頭山を越えられるだろうか? と思う。浅間峠の手前ですでに日が暮れる。ヘッドランプは早めに出しておいて正解だった。
浅間峠に着いた。残念だけど、最初に考えていたタイムは無理だ、この調子ではベスト+1時間も無理だろう。
飯を食べる。長袖シャツを下に着て、ショートパンツも履く。これで十分に防寒できるはず。
靴擦れが起きかけていたので、膝に貼っていたキネシオテープをはがして、左足の踵部分に貼る。かなり痛い。靴紐の締め方にも問題はあったけれど、サイズが微妙に合ってないようだ。気づかなかったのは最大のミス。これで持てばいいのだけど。まだ登りが続くので、もし、右足も同じ状態になって、テープにも効き目がなければ、歩くこともできなくなる。
足はまた痙りそうだし、心拍数を上げて荒い息をして登ることもできない、タイムがどうのこうのという状況ではなくなった、問題はどこまで行けるか、だ。これより状態が悪くなると走ることは無理、歩きも無理で、第二関門でリタイアになってしまう。しかし完走はしたい。だから、足に疲労が残るような登り方は止め、登りはもうスローペースで、後続に抜かれるに任せよう、と思った。
不安な気分のまま、ともあれ、十分ストレッチして、浅間峠を後にする。
第2関門(月夜見第二駐車場)へ
三頭山への登りを開始。ひたすら抜かれる(100人以上に抜かれているはず)。ゴツイ登山靴を履いた山屋さんにも抜かれる(すごいぞ)。西原峠からすぐかと思ったら、これがまた長い、さらに標高差がある。わかっているはずなのに、毎回、だまされる。
三頭山に着く。よくない状態。立っていられないぐらい疲れてしまい、思わず椅子に腰を下ろした。
ともかく飯を食べ、給水する。そして休む。20分ぐらい休んだかもしれない。休み過ぎて寒くなってしまったので出発する。
いちばん高いところは通過したけれど、果たしてどうなるか。靴擦れ、膝、腰の痛み、そして足の痙攣が止まれば、なんとかなる。
鞘口峠に降りてくる。腰と膝の痛みはそれ以上ひどくならなかった。ありがたい。峠から先、思ったよりもアップダウンがある、そして長い。水平の部分では、まだけっこう走れることがわかる。何度か足が痙りかけたが、減速して、足から力を抜いて走ると、また速度が戻ってくる、足が復活する。半分、痙ったまま走ってるような状態もあるが、なんとかなる。靴擦れの痛みは、水平な部分はまったく出ない。走っている時のほうが痛みがない。
少しずつ気力が戻ってくる。今まで抜かれてばかりだったけど、水平でゆっくり走っていけば、抜き返すことができる。月夜見第二駐車場に向けて走れるだけ走る。登りで無理をしなかった分、足全体としては、まだ疲労し切っていないことがわかる。これはラッキーだ。過剰な負荷さえかけなければ、またまだ力を取り出せる、なんとかなるぞ、という感触。
月夜見第二駐車場までの道路も走っていく、まだいけそうだ。疲れもそれほどひどく感じない(麻痺しているのかもしれないが)。ポカリ1.5リットルを給水所でもらう。飯を食べ、ストレッチし、岩塩をなめる。塩を舐めすぎて、喉がゲロゲロに。すかさず、稲荷寿司。残りを全部食べてしまう。パンもあるのだが、喉を通りそうもない。残りはゼリーと飴だが十分だろう。左膝の外側の部分が痛いのでバンテリンをタイツの上から塗りたくる。足全体が嫌な感じの筋肉痛に覆われている、だからといって、すべてに塗るわけにもいかないので、膝とアキレス腱だけにする。
後半戦を考える。御前山にしても、大岳山にしても、その手前にある長い尾根道の水平部分は必ず走ること。登りはゆっくりいくしかない、登りで無理をして足の痙攣が止まらなくなったり、完全な肉離れになればリタイアになる、登りでは後ろの人にどんどん譲ればいい。大岳山の下りの終わりから始まる水平道、金比羅尾根の下りは走り切って挽回すればいい。現在の感じで第3関門から普通に下れば、18時間か、若干切るぐらいだろうと思った。
第3関門(長尾平)、ゴールへ
御前山へスタートする。前後に、かなりの人が繋がっている。いちばん混雑する時間帯かもしれない。最新装備の若い人が多い。ただ、もう走ってる人は少ない。こちらは走る。水平でがんばって走って抜き、登りでまた抜かれ、それを繰り返す。抜く時は声をかけるけれど、ザックに小さな鈴を付けているので、後ろから近づくと聞こえるようだ。長い水平が入ると、次第にペースが上がる。後ろから何人かがずっとついてくるが、登り口で先に道を譲る、そんな感じで御前山着。大ダワへの下りは疲れた。下りというよりは、アップダウンの強い尾根道。前半の給食が効いているのか、ダメージはあまり感じない、後ろからそれほど煽られないからか、淡々と移動。
大ダワ。座ることはせず、ストレッチ。給食。ここから大岳山までの水平道が走れず、毎年、ロスしている。ベストタイムのときも、疲労であまり走れていないような記憶がある。今回はがんばって、できるだけ走ってみる。前後もバラケて、間隔が空いてきた。ほとんどの人が歩いているので、声をかけて抜いていく。
大岳山の登り、ここは渋滞してしまう、さすがに人が多い。大岳山を下る。ここもしばらく渋滞して、夜間の団体登山状態。下りながら、まだ体力が残っていることがわかった。降りたら、一気に走って、ゴールまでどんどん行こうと思う。
下に降りる。林道のような緩い道が続くのがわかっているので、ひたすら走る。不思議と足が止まらない。抜いていける。次第に速度が上がっていくように思える。長尾平の関門に着くが、すぐに日の出山へ。ここらへん、前のレースの時の記憶があまり残っておらず、日の出山まですぐだと勘違いしていた。遠い、遠い・・・まだか・・・。後で地図を見たら、けっこうな距離があった。前後の間隔が空いてくる、一人、また一人と、前のヘッドランプが揺れるのが見えてきて、追いつき、抜いていく。ちょっとした登りはそのまま駆け上がる、苦しいがなんとか持ちこたえてる。前半戦では考えられない。しかし日の出山の登りでは、また足が上がらない、後ろから追いつかれる。
日の出山からまだ夜景が見えたけど、夜明けは近い。最後の入念なストレッチをする。ゼリー、給水。あとは金比羅尾根。ここから一気に休まずに駆け下りるつもり。時計を見る。もしかして、17時間を切れるのか? よし、やってやる、タイムアタックだ。疲れ過ぎているのか、気分がハイになってきているのがわかる。小雨がパラっとくるが、降るなら降れ、ここまでくればどうってことない。
最初の階段は慎重に下り、尾根道はどんどん行く。最初、歩いている人が多かったが、尾根の中間ぐらいに来ると、走る人が増えてきた。前を走る人も追い越していく。途中、赤土が削れて低くなった登山道のところで、木の根に足をとられて転んでしまう。ちょうどスネが二本の根の間に落ち込んで、挟まって、そのまま前倒しになってしまった。目から火花が出る感じ。しばらく痛くて動けなかったが、挫いてないようだ、起き上がって、片足ケンケンしながら走る、スネが痛いのだけど、サッカーと同じだ、痛みがとれれば走れる、ともかく止まるな、という感じ。
前方に二人が走っている、競って下っているようだ。まだ疲れ切っていない、この二人を追いかける、ついていく、早い、追いつけない、また木の根につまづく。今度はゴロゴロと前転してしまう。砂だらけだ。もう足が上がっていないようだ。そこからは少し減速気味になるが、時計を見ると、17時間ギリギリかもしれない。また加速する。苦しい、なんか意識が変になりそうだ。そうこうするうちに夜が明けて、集落が見えてきた。間に合うだろうか? 前を走っていた一人がまた見えてきた、コンクリの道のところで後ろにつく。町に出て行くコンクリ道の下りは毎度のことだが、筋肉痛で辛い、そして苦しい。今回はもう痛みは無視して下る。なんとか抜こうと思ってがんばるが、やはり追いつけない。離されてしまった。それでも減速するな、あと何分だろう、アスファルト道に出ればすぐのはずだ、ダッシュだ、気合いで走れ、何度か角を曲がって、そして、スタート地点の五日市中学校にゴール。走り切れた。
ゴール地点で完走証をもらう。完走できたんだ、よし、17時間も切れた。気づくと、足の裏、爪、腰に不気味な痛み。かなり無理して下ってしまったことがわかる。さぁ、戻ろう。呼吸が元に戻って汗が引いてきたところで、ランニングの会の仲間のいる小学校体育館に向かう。最終的には全員がゴール。よくぞみなさん走りきりました。
自宅に戻ってから
毎回同じ状態になるのだけれど、疲労はその後、一週間ぐらい続く。普段よりも高栄養状態に置いて(ドリンク剤なども飲む)、睡眠をとる。そして、風邪を引かないようにする。抵抗力が衰えて風邪を引きやすくなる。今回はかなり気をつけていたけれど、やはり風邪気味になって、熱が出て寝込んでしまった。
レースの後半にかなり無理なことをしたようで、足全体がむくんでしまった。足裏と踵の痛みはとれてきたけれど、左右の足の爪はダメかもしれない。靴は一回り大きいのを選んで、靴下で調整するぐらいのほうがいいように思える。
練習について
事前の練習、特に1ヶ月前時点での調整の練習ができればよかったと思う。ランニングの会でレース前半の試走会に一回だけ出ることができた。これはとても大事な練習だった。これがなければ、実際のレースではリタイアしていただろう。練習会の後、多忙でほとんど走ることができなかった。
レース結果、タイムについて
ベストにはとうてい及ばず。ベストを狙う状態にまで持っていけなかった。ただ、レース中、力を抜いてのんびり行く、ということはなかった。その時点でやれる最大限のことはやった。もっと早く走れたかというと、限界、いや、身体的限界を少し超えてたがため、帰ってから寝込んでしまったのだった。
ベストを狙うには1年かけないと。14時間52分のベストを出した2006年は、年初から毎月、フルに近い距離のレースやトレイルランを取り入れて積極的に走っていた。それぐらいやらないと、ベストは超えられない。走った距離は裏切らない、のだった。
装備について
次回、ヘッドランプを変更(ライトが明るすぎるのと電池の消耗が早いので)、電池は量販店の安いものは使わない、低い角度から照らしたハンドランプだけでも十分に走れる。ハイドレーションパックは交換(穴が空いてる?微妙に水漏れしてるような)。スパッツはヒモの調整がうまくいくように。靴はモンベルなら28に変える(27.5では小さい、登りで靴擦れができる)。靴擦れ用の大きなバンドエイドを持て(キネシオテープでも代用可)。靴紐を締めすぎると、血行が悪くなり、足が痙りやすくなる(何度も微調整して、結局、いちばん緩くすることでなんとか凌いだ)。
食糧について
後半は疲れてゼリーしか受け付けなくなる。稲荷寿司の飯はやわらかく炊く。前半、腹が減っていなくても、少しずつ給食する。後半、違ってくる。飴は15個で足りる。岩塩を一気にとると、喉を痛めてしまうので、稲荷寿司にまぶすなどしておく。前半戦で水1.5リットル消費したが、登りでもっと気合いを入れることができたら、もっと必要だった。後半は1リットル程度しか使わなかった。
その他の装備、携行品
膝のキネシオテープは、左は特に念入りに。多重貼りして固めてしまってかまわない。下りのことを考えて、貼っておくべきと思ったら全部貼る。天気がよければバンテリンが使える(月夜見から筋肉痛がひどくなってくる)。手袋は不要(三頭山で休んだ後、冷えてしまい、降りる時に使ったが、手袋が必要な状態のときは、血糖値が下がりすぎているので、飴をなめたり飯を食べたほうがいい)。
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