冷蔵庫と時間泥棒と「炊きたて栗ご飯アツアツの刑」

ダメになった食べ物を冷蔵庫に保管していても、
いつかそれを処分しないといけません。

たまにやってしまいます。

「これって、いつ入れたものだっけ? さすがにもう食べられないよね」

同じことを思ってる人がたくさんいることでしょう。

特にアメリカ。

世界一強い国の冷蔵庫だから安全かな、と思ってたんですがね、
最適温度に冷蔵していたはずが、詰め込みすぎて、
だんだん熱くなりまして、最終的には
サーモスタットが壊れて、今度は中身がみんな凍り付いてしまった。

冷蔵庫が壊れた。
というか、冷凍庫になってしまった。

こりゃまずい、解凍しなくちゃいけない。

凍り付いた中身を解凍するために、
米は段階的に75兆円もの税金を使うそうです。

金融安定化策。
米政府と議会は2008年9月28日、公的資金を使って
不良資産を買い取る枠組みに大筋合意しました。
というか合意してなかったら、今週、えらいことになってたわけですけど、
冷蔵庫、いや、冷凍庫の中身を買い取る方針、が決まったわけです。
方針ですからね。

追記:2008/09/30 02:59
米下院、金融安定化法案の反対票が過半数を超え否決。
ドル急落、すぐにリバウンド。各国中央銀行、ドルを支えるのに必死。

それにしても、米の冷蔵庫システムは売れに売れましたね。

冷蔵庫のセールスマンは、北極にも南極にも、
欧州にも日本にも、暑いドバイにも売りに行った。もちろん売れた。
とても優秀です。

日本だってマネしようとしたぐらいです。
竹藪のなかのライオンさんが音頭とって、
爺さんも婆さんも預貯金みんな投資しなさい、みたいな。

で、米に入ってくるお金の4割近くが冷蔵庫の売り上げになっちゃってまして、
その冷蔵庫が壊れてしまった、中身が凍ってしまって、さぁ大変です。
投資銀行が凍死、なんて馬鹿なことを言ってる場合じゃありません。
凍った切り身を日本がお買い上げ、
米じゃもう売れないから欧州や東アジアの切り身を一気に買い取る。
すげー、ジャパンアズナンバーワン(再)、とか言ってる場合でもありません。

かつて日本も凍ってしまったことがありました。
米だって他国から学びます。
今度は、日本にも教えてもらおう、
最初からどかんと公的資金入れて解凍だ、と。

そう、まずは解凍しなければいけない。
どこまで凍ってしまったのか、調べないといけない。
まだそんな段階ですよね。
誰もその規模がわかってない。

75兆円でやれることは、凍り付いた扉を開けること、
中の品物を出すこと、吟味すること、買い取るという姿勢を見せること、です。
買い取り保証は最初、2500億ドル、大統領が1000億ドル追加可能、
さらに議会承認あれば追加で3500億ドル。これで7000億ドル(75兆円)です。
社会保障に関わる公的な性格のものまで買い取るそうです。
米は国民健康保険でも始めるんでしょうか。
それでみんなが安心するはずなので、
冷凍品のやりとりが再び活発になるはずだ、と。

でも、それでうまくいきますかね。
冷蔵庫に残されたものは、完全に凍って
組織が壊れたスカスカな肉みたいになってる。
これ食べられないですよ。信用収縮した肉は流通しませんって。
75兆円で済まないでしょ、だから段階的な買い取りをさせて、
世論のショックを和らげようとしている、そう思ってる方も多そうです。
米国だけじゃないんですよね、あちこちがこちこちにかちかちに凍ってる。
それに、買い取ったもの、それが資産になるんでしょうか?
エスキモーだってもう買ってくれませんよ、イグルーには使えるかもしれませんが。

放っておくと世界が冷凍庫になっちゃいますので、
修理するしかないです。
捨てるわけにもいかないでしょう。
冷蔵庫システムそのものを破棄すると、
その中のものは全部ゴミになってしまいますから、できません。
世界中で米国債使って焼き芋焼いてもおいしくないです。
ともかく修理しましょう。
でも、ほんとに修理にいくらかかるんですかね。
いつまでかかるんですかね。
今、その計算をしているところだと思います。

冷蔵庫というのは、タイムマシンなんですよ。
悪くなるものの悪くなる速度を遅らせる。
時間を操作する。

冷蔵庫とは、時間の換金システムなんですよ。
そう、エンデの時間泥棒がいたんです。
盗まれた時間のために、別の何かが加速していきますね。
今が加速していなければ、将来、加速しますね。

そうしないと計算が合わないんですよ。
時間的な遅れがあっても、最終的には、帳尻の合うようにできています。
世の中、架空の数字で振りまわされているとしても
最終的にはそれが実体化するわけです、リアルな冷蔵庫の中身が見えてくる。

まだ冷蔵庫の整理は始まったばかりです。

一方、日本では「(解散総選挙なんて)冷蔵庫に入れておけ」
なんて言ってる方もいました。
官邸の冷蔵庫にはビールと干涸らびたチーズしかない、
とか言った、芝居のうまいオジサンです。

支持率があまり熱くなかったようですね。

火中の栗拾いした人は、他人の舌禍の渦中で、悩んでることでしょう。
実際、十分に支持率をチンして温めてから国民に信を問りたいところ。
でも、温める材料があまりない、長すぎれば凍り付く、
ほどよいところ、そのタイミングを
自分の判断で行いたい、そう思ってることでしょう。
恐れるのは、自由度を奪われることだと思います。
政治家として、派閥として、政党として、国家として。
もちろん、人間として。
冷蔵庫に長いこと閉じこめられたら、得意の狙い撃ちもできません。

こんな感じでしょうか。


N大臣、自分より先にキャラ立ちして
勝手にかき回して退場するなんてひどいなぁ、
もしかして、これって、わざとですか?

金融危機で外は冷たくなってるのに、下からは突き上げ喰らって燃えさかって、
それってなんていう風呂ですか?
焚き火始まったから、拾える栗は拾いましたけれど、
焚き火の上に置かれた風呂に入った覚えはないですよ、
イガグリそのまんま入れた栗の五右衛門風呂? 痛すぎます。

だいたい五右衛門じゃないですよ、何も盗んでませんよ?
予算という名の税金を市中にばらまくのはこれからなのに、
まったくひどいなぁ、
その予算は暴利むさぼった商人から盗った金じゃなくて
国債になりそうなんですけどね、え? だめ?

足下に事故米問題もあるじゃないですか、
そんなにカッカしたら栗ご飯炊けちゃいますよ、
炊きたてのご飯に埋もれるなんて、熱すぎますよ、それなんて拷問?
秋の事故米・炊きたて栗ご飯アツアツの刑?

そんなことより日本経済をアツアツにしたいのに、
どうして邪魔するかな。
そんなことやってる場合じゃないでしょ、
アキバのみなさん、なんとかしてください。

実際のところ、際立ったよい手というものはありません。
米からの冷風はまだ止まってませんし、
時間を繰り延べることはいちばんよくないことなのかもしれません。
おいしい栗ご飯を食べて、実りの秋ということで、
やるべきことをやったほうがいいですね。