Thomas Blass, 服従実験とは何だったのか: スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産(野島久雄・藍澤美紀訳)、誠信書房、2008
社会心理学者の翻訳者のサイト。「あとがき」へのリンクあり。それを読むだけでも、ミルグラムへの興味が湧いてくる。
ミルグラムは見えない人と人の繋がりの心理(まさに社会心理)を研究していたんだけど、そのなかで見つかった「6次の隔たり」の概念が、そのままインターネットで可視化された。
彼はアイヒマン実験(服従実験)で、残酷な状況というのは異常者が起こすのではなくて、普通の人間が誰でも起こしうるのだ、ということを人類に突きつけたのだけど、ネットが爆発的に展開していくこの人間世界のなかで、これからどんな状況が生まれてくるのかについて、ミルグラムの多方面にわたる研究分野を調べていったら、何か、ヒントが見つかるかもしれない、と思っていたりするのだった。
とくにこれからネットで政治が行われるようになる。それは法的に=物理的に生活を変えてしまう。
どういう世の中が現出するのか、すばらしい側面は、その危険な側面は、と考えてみたいもの。