更新 2011年3月25日
電子書籍、電子出版に関する最新のニュースを毎日、自動的に集めてブックマークしています。下記を参照ください。
[電子書籍出版メモ]
更新 2010年11月1日
電子書籍、電子出版については、すでに多くのサイトで取り上げられています。
現時点でのデバイスについては下記のページを参考にしてください。
情報は刻一刻と変化しています。
自分はツイッター経由でその変化を捉えていますし、逆に、変化を起こしていきたいと思っています。
更新 2009年9月18日(金):
最新の電子書籍に関するニュースは「電子書籍に関するニュース一覧」 にあります。一週間に数回の頻度で更新します。手動です。
はじめに
なお、このページは下記については触れていません。
- CD-ROM・DVD-ROM などパッケージ系電子書籍
- 「魔法のiらんど」など、特定SNSなどについて(非紙出版系ということで)
- 日本の携帯電話に特化した携帯小説やコミックの市場
- キャリアとその収益
- 個別の電子書籍、読書傾向などについて
また、立ち位置としては、
- このページの制作者は電子書籍業界の「中の人」じゃない
- 情報が最新とは限らない。間違いもあるかもしれない。情報の真贋のウラトリは自己責任でお願いいたします
というものになります。ご了解ください。
また、明かに事実誤認がある場合は、お知らせいただければ訂正いたします。
電子書籍市場、業界を俯瞰する
[PDF]「No.11 電子書籍の流通・利用・保存に関する調査研究@カレントアウェアネス・ポータル(国立国会図書館)」
通読すれば充分な知識と情報が得られます。
特に押さえておきたい情報は、
- 「第3章 電子書籍の流通・利用・保存の現状」にある、課金の仕組みやデジタル著作権管理(Digital Rights Management:DRM)についての項目
- 「表3.6 主要電子書籍フォーマット、ビューアと対応DRM 一覧」
- 「3.1.2 流通フォーマット(1)携帯電話でのコンテンツ配信の仕組み(図解)」
- 「3.1.2.2 PC でのコンテンツ配信の仕組み(図解)」
- 後半の資料編(を見て、自社コンテンツの状況と比較するのもためになるかもしれない)
ただし、
- 視座は「図書館」にある
- 2009年6月2日現在、AmazonやGoogleの活発な動きから、状況が変わりつつある
という点にお気を付けください。
以下、最新情報を織り交ぜつつ、まとめていきます。
細かい数字はすっ飛ばして、ざっくりと理解できる部分を切り出しますので、詳細はネットで検索したり、識者に当たるなどして、補完してください。
電子書籍市場のアウトライン
規模の拡大と停滞
- PC向けと携帯向け合わせた全体の規模は、2007年度までは、倍々で増えている
- PC向け電子書籍市場は2006年に70億、2007年に72億で伸びが止まった。伸張したのは携帯市場
- 2008年の携帯市場はコミックと写真集が75%。残りの25%がいわゆるテキストの書籍だが、そのほとんどは携帯に特化させた「携帯小説」(対象は学生)と思われる
- なお、携帯小説の市場は、2007年は175億円、2008年は152億円と、縮小している。ブームの落ち着き、世界同時不況の影響か
出版社の対応
- 紙のコミック、雑誌の売り上げは急速に萎んでいる。新聞、雑誌ともに急速に悪くなってきている
- 既存の紙の雑誌をそのままウェブに持っていってコンテンツを展開したところでビジネスモデルが構築できずに潰れている(WEB現代→「MouRa」の終了)
- 紙の書籍(新書、文庫)と電子書籍への期待
- CD-ROM・DVD-ROM などパッケージ系電子書籍、コミック、写真集は今後も積極的に
- 2007年の携帯小説ブーム同様のムーブメントを仕掛けたい
- 良書絶版本の電子化
- 小・零細出版社→具体的にはまだまったく動き出してはいない。投資が難しい。興味はある。利益が出るかどうかが鍵
代表的な電子書籍販売サイト
*一覧中の☆は「兼コンテンツプロバイダー」、○「兼電子書籍取次」
- 電子書店パピレス(☆○株式会社パピレス 同>会社概要)
- 楽天ダウンロード(楽天株式会社)
- DMM.Com(株式会社デジタルメディアマート)
- ビットウェイブックス(○株式会社ビットウェイ-凸版印刷系)
- eBook Japan(☆株式会社イーブック イニシアティブ ジャパン)
- PDABOOK.JP(○株式会社モバイルブック・ジェーピー)
- Space Townブックス(シャープ株式会社)
- Yahoo!コミックス(株式会社ヤフー)
- 電子文庫パブリ(○株式会社モバイルブック・ジェーピー)
- ウェブの書斎(大日本印刷株式会社)
*紀伊國屋書店やジュンク堂書店の電子書籍販売サイトの取次業者は株式会社パピレス(eBookBank 販売支援サービス)
ケータイのコンテンツプロバイダー
- エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社
ケータイへのコミック配信 - 株式会社ビービーエムエフ
ケータイへのコミック、グラビア写真集の配信
参考:
ひっそりと、電子書籍「ΣBookJp」「最強☆読書生活(PC版)」サービス終了へ@japan.cnet.com
パナソニック、PC向け電子書籍配信サービス「ΣBookJp」および「最強☆読書生活(PC版)」を2008年9月30日をもって終了。
電子書籍のデバイス、ファイル形式とビューアー
デバイス
- PC(Windows、Macintosh、他)
- 読書専用端末
Kindle 他 - 汎用デバイス
- 日本専用の携帯端末(Docomo、AU、SoftBank他)
- スマートフォン、iPhone他
- ゲーム端末(ソニーPSP、任天堂DSなど)
ファイル形式とビューアー
テキスト、ドットブック(.book)、XMDF
- テキスト、ドットブック(.book)、XMDFの解説
- PDAで読むテキスト形式について
- 今後は上記以外のファイル形式が増えてくると思われる
BookSurfing
- 配信サーバ、コンテンツ制作など。他のフォーマットにも対応。
- 料金などについてはBookSurfingソリューション
Adobe PDF
- アドビ社のAdobe Readerで表示する。旧ebookもこれに吸収された
- 印刷を不可能にする、パスワードを入れないと読めないようにするといった方法がとれる
keyringPDF
- アイドック株式会社
- 不正コピー防止を施すDRM(デジタル著作権管理)機能がついており採用先も多い
- 決済システムや配信システムもある
- ただしWindows専用(keyringFlashであればマシン環境を問わないが・・・)
Flashベースのビューアー
- Flashベースのページめくり可能なウェブアプリケーション(ベースはアドビ社のFlash、ウェブでのビューアーとして利用)
- 電子書籍ビューア『DOR(ドア)』
Yahoo!コミック用。Microsoft Internet Explorer 6.x、7.x、8.x(日本語版)のみ対応 - Wisebook(デジタルブック)
株式会社コベック
ウェブでのASPサービス、制作代行、パッケージソフト販売、制作会社向けASPサービス、配信サービス
上記と同様のサービス、ビジネスモデルを展開する会社が複数存在する。
「.epub」ファイル
- iPhone/iPod touch のアプリ Stanza の電子書籍フォーマット
- 薄型軽量の電子書籍リーダー「COOL-ER」が利用
参考:
Amazonの動向
Kindle
参考:
Amazon、大画面の電子ブックリーダー「Kindle DX」を発表@ITmediaNews
キンドルの購買層について
参考:
電子書籍端末「キンドル」のユーザー,大半が中高年者なのか@media pub
→新聞、定期購読する雑誌、本の読者。日本の電子書籍市場とはまったく異なっている。
Adobeとの関係
STANZAとOPDS
- AdobeはStanza@Lexcycle社とオープンな電子書籍出版システム「Open Publication Distribution System(OPDS)」に取り組んでいたが、STANZAをAmazonにとられてしまった。
- 2009年4月上旬までの構図:
Adobe(+電子書籍リーダーStanza@Lexcycle社)
+ Apple(iPhone+iTune) + (PC)
+ 米非営利団体Internet Archive - この構図が崩れた。
- STANZAを利用したAmazonの独自フォーマットの利用、AdobeのPDFを使わない、という方向か
ネット書店としての複合的な販売戦略
- 早稲田大学と提携してアマゾンでの購入割引を実施(2009年5月現在、早稲田OB会が停止申し入れ中)
- キャリアSoftbankと提携、特定のサービス契約者に対して、アマゾンで値引
参考:
Googleの動向
Googleブック検索から「Google’s e-book program」へ
- グーグルブック検索と日本の著作物に関しての、グーグル側からの著作者や出版社への通告および要望受付、あるいは交渉についての、グーグルからのお知らせ(長い!)「Googleブック検索和解」
- 「本の一部を閲覧→他のネット書店で紙の本を購入」という流れから、紙の本ではなく、Googleがスキャンした電子書籍を閲覧者に直接販売しないか、という提案を著作者(および出版社)に対して始めた、ということ。
- グーグルの基本コンセプトは、「世界中の本をスキャンしてテキスト・画像を公開する。著作権の消滅した絶版本は無料で公開する。著作権のある絶版本については(申し出があれば)有料で公開し著作権者や紙の出版権者に対して相当の使用料を支払い、また、非公開を希望するならば非公開とする」。
- 端末は問わない電子書籍の貸本屋ビジネス、有料電子図書館ビジネス、と思えばよい
- ただし、そのスキャンされたデータが元の書籍通りでないこともある。機械的なスキャンおよびOCRをかけた状態で、特にテキストに関しては読むに耐えない場合がある。公開に際しては著作者、既存出版社のチェック要
参考:
Google が電子書籍市場に参入へ、『Kindle』の有力対抗馬に
- ユーザーは『Partner Program』にアクセスし、本をオンラインで購入
- 各社が自社の刊行物を Google の電子書籍ストア内に置く時間と労力に報いるような仕組み
- amazonに比べれば出版社側が価格設定に自由度がある
- 決済方式の用意もされているということ
- 既存の出版社サイトにある図書目録データと連携可能か
「Google’s e-book program」についてのNYTimesの元ソース
このソースの最後に、価格決定について、最初の記事を改訂した、とある。
Correction: An earlier version of this article incorrectly stated that publishers would establish retail prices for books sold through Google’s e-book program. Publishers will be able to set a list price, but Google will set the price paid by consumers.
Google翻訳で直訳すると(笑)
訂正:この記事は、以前のバージョンを誤って電子書籍の出版社の書籍はGoogleのプログラムを通じて販売の小売価格を確立する考えを示した。 出版社のリストを表示価格を設定することができますが、 Googleは、消費者が支払う価格を設定します。
このほか参考:
Google、書籍検索結果や書評をサイトに組み込めるAPIを公開
端末向けに電子書籍のデータを提供
- 米Sonyと提携
米電子書籍ストア「eBook Store from Sony」 から、電子化したパブリックドメイン書籍を無償提供し、Sony Reader「PRS-505」「PRS-700」で読めるようにする - ネットに繋がっていない状態でも閲覧できる、ダウンロードできるファイル形式も可能ということ
AppleのiPhoneとGoogleのAndroid
iPhone
- Appleの携帯端末iPhoneで閲覧可能な電子書籍の制作と販売
- iPhone Developer Program に登録して、iPhone向けの電子書籍(=アプリケーション)を制作し、審査の末にApp Store(iTune)に登録されれば、誰もが販売可能となる。Appleは販売手数料の3割を徴収する。
- 日本語電子書籍で汎用されるフォーマットはまだ出てきていないし、今後に出てくるかはわからない。書籍というより、アプリケーションの感覚。今後、市場は活発になると思われる。
Android
- Googleの開発した携帯OSのAndroidを搭載したスマートフォンで閲覧可能なアプリケーションとしての電子書籍の制作と販売
- 電子書籍に関して情報はないが、Googleが電子書籍の販売に参入するならば、早い段階で出てくるはず
- Appleよりもオープンな仕様で制作・登録・販売が可能になるとされる(Android Market)。売上の7割を取得できるほか、Googleは残りの売上をキャリア側に支払う。Android携帯が増えれば、こちらの市場も急速に活気づいてくると思われる
学術系、図書館はどうなっているのか
- 辞書検索サイト「JapanKnowledge」(株式会社ネットアドバンス)
- 学術系電子書籍サービス「NetLibrary」(紀伊國屋書店とOCLC による)
(コンテンツは出版社が保有するDTP組版データから作成する)
このページで漏れているけど重要な分野
日本の著作権、著作者隣接権、出版権、パブリックドメインほか権利問題
無償で自由に読む本について
資料
電子書籍関連の団体
電子書籍図書目録検索サイト
- 総合図書大目録(世界最大の電子書籍大目録)
参考:
本とネットの公園~電子書籍徒然ブログ~本と映画とネットの融合まで日記~
(総合図書大目録の立ち上げプロジェクトを担当された方のブログ) - hon.jp
参考:
hon.jp Webサービス(Ver.2.1)について
このほかの参考にさせていただいたサイト
- 「日本における電子書籍の流通・利用・保存に関する調査研究」~電子書籍概論~
2009年3月9日(月) 国立国会図書館調査研究報告会 湯浅俊彦 - 愛知大学文学部図書館情報学専攻 2008 年度卒業論文要旨
日本の電子書籍出版の現状と問題点 神戸 恭哉 - 電子書籍の市場規模355億円。対前年度比約2倍に拡大。うちケータイ電子書籍市場規模が約7割を占める
—『電子書籍ビジネス調査報告書2008』、『電子コミックビジネス調査報告書2008』同時発売—
2008年7月9日@株式会社インプレスR&D - 第7回・電子書籍市場@WEBマーケティング研究会 2009/02/16
「日本における2007年度の一般書籍の売上高は約2兆円といわれていて、書籍の電子化率は2007年度で2%以下にすぎませんが、今後電子書籍のシェアが急速に拡大することが予想されます。」 - 日本における電子書籍の動向と公共図書館の役割
湯浅 俊彦(日本ペンクラブ:電子文藝館) - 株式会社オンブック ON-BOOK.ltd
以上
これからの電子書籍について思うことなど 2009年6月3日(水)
- 日本の今後の市場は、中高年層がターゲットに?
- 専門書、本格的な読書は可能か
- 紙に近づけようとすることには意味がないのでは?
- 書籍の企画、編集段階から電子書籍化について考える必要がある
- DTPのデータの扱いは重要
デバイスおよびビューアーに求められる特性
- 可読性(大きくて読みやすい文字が基本。文字の大きさ、読み方等をパーソナライズできる。長時間の視聴にも耐えられる、バッテリーを気にしない→スマートフォンや携帯では難しいか→せめて片開き文庫程度のサイズは必要)
- 可搬性(軽い、耐用性がある、安い→せめて1万円以内)
- 操作性(めんどうな操作は誰もしたくない。俊敏な操作性。タッチパネルまたはPCと同じ操作で)
コンテンツの購入と保存、利用、転売
- 購入が容易(決済方式が簡単、決済コンテンツにかかった料金を意識しないで済む)
- 保存が容易(購入したコンテンツの保存、その保存の期間が保証されていること)
- 利用が容易・便利(検索や関連事項への外部リンク機能を持っていること。また、紙の書籍でいえば、線を引くなどの書き込みができること。取得したコンテンツを自由にどこでも読めること→デバイス、閲覧ソフトウェア、閲覧環境左右されないということ)
- 資産となること(紙の本同様に、コンテンツによっては資産となること。中古流通市場が可能であること。容易にコピーできないと同時に、転売(権利に移譲)が可能であること)
- 料金固定での「クラウド」仕様
- 端末が壊れても他人の端末でもIDとパスさえあればデータセンターから携帯電話回線で「何度でも何カ所にでも」ダウンロード可
ピンバック: 電子書籍端末(eブックリーダー)スペック比較表 | GONT-PRESS